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住み継ぐ人々

2つのテーブルの話

2つのテーブルの話

築50年の平屋と築70年の納屋をリノベーションした、seeの自邸と事務所。
それぞれ思い入れのある「テーブル」があります。

構造上、取れない柱…どうする?

長く空き家となっていた築50年の農家の平家をリノベーションした自宅。
昔ながらの「田の字」に区切られた部屋の壁を取っ払って、広いLDKにしました。
柱は強度の問題で取ることができず、ダイニングの真ん中に柱が一本ドーンと残ってしまいました。

リノベーション 古物件 徳島

リノベーション中はバタバタしていて家具についてゆっくり考えることもできず…。
住み始めてからダイニングテーブルをどうするか考え始めました。

リノベーション 柱

でもどうレウアウトを考えても柱が邪魔でダイニングテーブルを置くスペースがありません。
そこで設計をしてくださった設計士の内野輝明さんに相談して、柱を挟み込んで真ん中で真っ二つに割れるダイニングテーブルの図面を引いてもらいました。

徳島家具 木工 富永建具

次の問題はこのテーブルをどの材でつくるのか。
床を杉にしたので、「色の濃いマホガニーにすると締まっていいのでは」と思いました。
でも規制がかかっていて日本では今、マホガニーがなかなか手に入りにくくなっているのです。

でもどうしても諦めきれず、以前古材を購入する際にお世話になった新潟の越後古材さんに電話をすると
…あったんです!!

そこから数ヶ月、木材を乾燥させ家具に仕立てる準備をしました。

この材を使って、図面に描かれたテーブルを形にしてくれたのは、徳島の富永建具さん。
全く狂いがなくて、技術の高さに感心しきり。

徳島はかつて鏡台や仏壇の製造が盛んで日本の代表的な木工産地でした。
江戸時代の船大工から伝わる高い木工の技術を、こうして自宅のダイニングテーブルとして迎え入れることができてうれしく思ってます。

マホガニー

運命的に出会ったハート型の欅の一枚板

事務所で打ち合わせに使用しているテーブルは、欅の一枚板を天板にしています。
このハート形をした欅の一枚板は、四国から遠く離れた新潟県で出会いました。

ハートのテーブル
新潟県長岡市にある「越後古材」は大正時代から続く製材所「井口製材所」さんが営む、古材を中心に骨董品などを扱うお店です。

越後古材さんのホームページに書かれた言葉を紹介します。
https://echigokozai.com/company

“越後の国新潟”にはたくさんの歴史ある個性豊かな古民家がたくさんあり、どれも積雪に耐いた良質な材木を使っております。
しかし近年、まだ十分に活用できる貴重な古材が、建て替えや解体により処分され、年々その姿は失われつつあります。
そんな状況がとても残念でならず、古材事業、環境ビジネスを展開する経緯となりました。

自邸のリノベーションで使う建材を探しに、越後古材を訪れました。
広い倉庫の中は見やすく整理整頓されており、柱、梁、板材などの古材は品揃えは驚くほど豊富。
古民家好きなはたまらないスポットです。

越後古材

その時に見つけたのが、このハート型の欅の板。
見つけた時「絶対これだ!」と思いました。
しかも嬉しいことに「穴が空いて売れないから」と三万円程でお安く譲ってくださいました。

欅の一枚板

そして今はこの机でお客様をお迎えしたり、デスクワークをしたりしています。
月日を経るごとに味わいが増してきています。
もしかしたらこのテーブルは、私の寿命より長いかもしれません。

世代を跨いで受け継がれてきた古民家と同じように、このテーブルも長く受け継がれていくかもしれないと思うとワクワクします。

事務所 欅のテーブル

家は器、家具は暮らしの道具

古物件を購入し、リノベーションを始めると、どうしても暮らしで必要な家具は後回しになりがちになるということは、自らの経験で身をもって体験しました。
我が家も半年ほど「ダイニングテーブルがない」という状態で暮らしました。

家が「器」であるならば、家具は暮らしを営むための「道具」。
お気に入りの「道具」があると、日々面倒くさいと感じることがたくさんある日常生活にも少しハリが出てきます。
そして「器」である住まいと同じように、家具も欲しいものがなければ、材料を探してプロの手を借りてイメージ通りのものを作ることが体験できました。

決して器用な巣作りではないかもしれませんが、愛着の持てる空間を作ることをこうして楽しんでいます。

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