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住み継ぐ人々

自邸購入とリフォームの話

自邸購入とリフォームの話

see代表の元木の自邸とオフィスも、古物件をリノベーションしました。
旧吉野川の堤防のほど近くにある平屋と鉄骨造の納屋は、近くを通りかかった時に偶然見つけました。
南側に大きく開けた敷地と、敷地の南西にこんもりと佇む竹藪の雰囲気や簡素な家屋や納屋の雰囲気に一目惚れ。
当時この家屋には誰か住んでいる気配もなく、新興住宅地となっている近所の方にこの家の持ち主について尋ねてもまったく情報が得られませんでした。

けれども、どうしてもこの物件をあきらめることができませんでした。
そこで登記簿でこの物件の所有者を調べ、「購入したい」という思いを手紙に綴って送りました。
その後また物件を見に行った時に、偶然県外に住む持ち主ご夫婦がお掃除に来ていて、直接話をする機会を得ることができました。
リフォーム前の様子。 正面が母屋で左奥に見えるのが鉄骨の倉庫です。

お話を伺うと、この家には農業を営んでいた持ち主のご両親が長く住んでいて、ご両親が亡くなった後も時折手入れをして守ってきたそう。けれども県外暮らしが長く、将来この地に住む予定もなかったので、「ちょうどこの物件を手放そうと思っていたところだった」とのこと。

中を見させていただくと、長い間空き家だったけれどもとても大切にされてきたことがわかりました。
そして、購入の契約を決める前に2人の設計士さんに相談に行きました。

2人の設計士から言われたこと

まず最初に相談した設計士さんは、川に近いことから水の心配を指摘しました。なので「あまりおすすめはしない」とのアドバイスでした。
でもどうしても諦めきれず、別の設計事務所の扉を叩き相談をしました。すると「外構のみずはけなどを工夫すると、大丈夫なのではないか」との返事をいただきました。

契約前に気をつけたこと、耐震のことなど

とはいえ、私たち夫婦は以前古物件の購入で失敗をし、裁判にまでなった経験があります(→seeについて)。
なので、今回の契約にはとても慎重に行いました。

まず、雨漏りや家屋の傾きなど「見えない部分」にコストがかからないかどうかを設計士に確認してもらいました。

リフォーム前の内部の様子。前の持ち主が綺麗に使っておられました

そして耐震についても、家屋の現状がどのようなものか調べてもらい耐震にかかる概算費用も出してもらいました。
厳密に耐震するとかかる費用は700万円という数字が出ました。
これは想定していたよりも大幅な予算オーバーでした。

古物件の耐震補強については「これが正解」というものがありません。
いろいろ考えた結果、耐震には200万円の費用をかけ、筋交いを入れたり床下にコンクリートを補強しました。

倉庫 古物件 リフォーム リノベーション リフォーム前の納屋の様子。

リノベーションで大切にしたこと

設計士とのやりとりで、私たちが「これだけは譲れない」と伝えたことは2点。
ひとつは費用のこと。
物件購入後にリノベーションにかけられる費用を、率直に伝えました。
限られた予算の中で何を優先すべきか、腹を割って話をしました。

そしてもうひとつは「南からのたくさんの光が入る 広々した明るい家にしたい」ということ。 自分たちが好きなモノ・コトについてや家族がこの家でどのような暮らしをしたいと思い描いているか、自分の言葉でしっかり伝えました。
そして妥協することなく粘り強く対話を重ねることで、設計士とも信頼関係を深めたことによって、自分たちの気に入る住まいができあがったと思います。
これは、どんな古物件のリノベーションでは特に大切なことだと感じます。

古民家 古物件 リフォーム
光を多く採り入れたかったので、南側の建具はすべて取り替えました。
また古い外壁を外し、新たに杉板を張りました。
時間を経るごとに味わいが増してくるのが楽しみです。

古物件 古民家 リフォーム リノベーション
外構も、もともとあった木々を活かしつつ、水はけがよくなるように整備をしました。

古民家 古物件 リフォーム リノベーション
古民家 古物件 リフォーム リノベーション
二間続きだった和室は壁を取っ払ってリビングダイニングキッチンに。天井も構造材をあらわしにすることで、広々とした空間になりました。

古物件 古民家 リフォーム キッチン 業務用
キッチンはコストを抑えるために業務用を選びました。
古物件の味わいのある雰囲気とシルバーの無機質な感じがマッチしていてとても気に入っています。

倉庫 リノベーション
事務所としてリノベーションした倉庫。
トタンが朽ちるなど見た目はかなり劣化していましたが、構造はしっかりしていました。

倉庫 オフィスにリノベーション リノベ
外壁を明るい色で塗り替えることでイメージがグンと変わりました。
東側には開口部を設け、建具もつけかえました。

倉庫 リフォーム リノベーション
お気に入りの家具やアートを置いて、自分好みの空間に仕上がりました。

ご縁でつながった方々に感謝

こうしてこの家に住み始めて2年。
おかげでとても快適に暮らしています。

まず何より感謝したいのは、大切にこの家を守り続けてくれていた以前の持ち主です。
一通の手紙から始まったご縁で新しく生まれ変わったこの家にも、いつか遊びに来ていただきたいと思っています。

またさまざまなアドバイスをくださった設計士さん、施工中にいろいろな無理を聞いてくれた職人さんたちがいて、この家に住むことができています。

1度目の古物件の購入で大きな失敗をしたからこそ、こうして出会った方々とのご縁に心から感謝をします。

そしてこうした「豊かなご縁」を紡いでいくことが、seeのミッションだと思い、古物件とそれを必要とする人々をつなげていきたいと思っています。

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